煙幕を張る:Daisuke.S ページ41
—You side—
なんだか今日は
寝つきが悪くて目が覚めた
今は何時なんだろう
ベランダに出て空を見ればまだ真っ暗だ
閑静な真夜中は
やけに物悲しくて煙を吸って口遊む
『……♪♪〜♪〜
自分の声だけが小さく響いて
世界で独りなったように錯覚してしまいそう
「♪〜♪〜…Aちゃん声綺麗ね」
「あ､煙草吸ってる〜ダメだよ?
ベランダ寒いし､煙草も､体壊しちゃうじゃん」
隣で寝ていた愛愛しい恋人を
いつの間にか起こしてしまっていた
『なんか目さめちゃってさ一本だけ､ね?』
独りの真夜中に貴方がきてくれた
それだけで安心が宿る
「駄目だよ､没収〜」
私から簡単に煙草を取り上げて
それから貴方は………
——————————————
—Daisuke side—
夜風に揺れる幽かな歌声に目が覚めた
きみの歌う声を辿ってベランダに出る
『……♪♪〜♪〜
「♪〜♪〜…Aちゃん声綺麗ね」
静かな真夜中に重なる
きみとおれの小さな歌声
まるでこの世界に
二人きりで取り残されちゃったみたい
「あ､煙草吸ってる〜ダメだよ?
ベランダ寒いし､煙草も､体壊しちゃうじゃん」
部屋着だけでベランダに出て
いつからきみはここに居たんだろう
『なんか目さめちゃってさ一本だけ､ね?』
内緒話するみたいに
無邪気に笑うきみがかわいい
でも体が冷えちゃうよ
早く中に戻らないとおれ心配しちゃうから
「駄目だよ､没収〜」
それとも………
「そういうお誘いしてくれるってのなら
煙草､どれだけでも吸ってもいいよ」
苦手で慣れない煙草を少しだけ吸って
きみに煙を吹きかけてやる
そしておれに真っ赤な顔を向けたきみを
すぐさま部屋の中へと攫ってしまう
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作者名：時雨 | 作成日時：2023年11月27日 15時
