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❄︎ ページ49
もうすこし歩いたら家に着いちゃうなぁ
一緒に帰れたから嬉しかったけど
『向井くん､家までもうすぐだから
ここで大丈夫､送ってくれてありがと』
二人で家まで歩く帰り道は
やっぱり楽しくて､ちょっぴり寂しかった
会おうと思えば
またいつでも会いに行けるのにね
「分かった､気ぃ付けてな」
名残惜しくも彼に背を向けようと足を出す
それより先に彼はもう一度
優しく私の髪を撫でてくれた
『向井くん…?』
「ごめんなぁ､おれ意気地なしで」
今日ずっと一緒に居た時間の中で
一番特別にやさしい顔と声
「次に遊びに誘う時は
絶対柳さん彼女にしたるから
もうちょい期待して待ってて､Aちゃん」
「成り行きじゃなくて､ちゃんと伝えたいから」
それだけ､それだけをニコっと笑って言って
彼は今二人で来た道を
私より先に背を向けて行ってしまった
あんなの､あんな言い方
もう言っちゃってるようなもんじゃない
期待､してもいいんだ
惚れてしまったのは
いつも元気なのに､たまにどこか大人で
底なしにやさしいズルい人だった
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作者名：時雨 | 作成日時：2023年11月27日 15時
