不器用なりにがんばってみたら (ページ27)

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EP.26 ページ27

普段からショートスリーパーな私

撮影していた大きなドラマも区切りがついたということで久し振りにお昼前までのんびり寝ることができた

〈今日さ、ヒマ？〉

『え？』

〈出掛けね？〉

翔ちゃんから誘ってくるなんてほぼ初めて

なんとなくまだ既読つけたくなくて

そのまま朝ごはんの用意をする

即席の味噌汁と切るだけのたくあんとご飯を目の前にしてもう一度スマホと睨めっこをする

『返信…どうしよう』

送られてきていた時間からするに、そろそろ返信をしないといけない気がする

《今日はオフだから暇です》

『既読はや…！』

〈5時に△△駅の時計前集合で〉

17時ってことは夜ご飯食べるのかな？

『……何ニヤニヤしてんだ、私』

内心嬉しい、ものすごく嬉しい

今まで、と言っても学生時代の話だけど

私が翔ちゃんに予定を聞いてレッスンとかがなくてお休みが連日である時だけ出掛けるって感じで…

向こうから誘われるなんてことほとんどなかったから、子供みたいにワクワクしちゃって

ワクワクしている自分に恥ずかしくなって

小皿に盛ったたくあんを噛んで忘れることにした

結果、どうだったか？

『……忘れられるわけないじゃん』

「何が忘れらんないの？お姉さん」

『……』

「あ、大丈夫です！えっと、ナンパとかじゃないんで…！深澤と言います(ｺｿｯ)」

「急に声掛けちゃってすみません」

『いえ、でもどうして私のことが』

「一流女優であるオーラが隠しきれてないって言うか、うちのメンバーも何度もお世話になってたんで」

『そうでしたか』

ﾋﾟｺﾝ

『あ…』

〈着いたけど、どこ？〉

「あ、すみません待ち合わせでしたか？」

『まぁ、はい』

「すみません！声掛けちゃって！それじゃ、失礼します！」

《ごめん、今向かってる》

〈りょーかい〉

「お、来た」

『遅れてごめんなさい』

「別にそんな待ってないし、いっつも遅れてたの俺の方だから」

『それは、そうかも』

「ついて来て」

『どこに行くの？』

「いいとこ」