不器用なりにがんばってみたら (ページ4)

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EP.4 ページ4

無事にインスタライブも終わり、帰ってきたら時計は日付が回っていた

『翔ちゃんが……共演者か』

本読みを終えて事務所に向かう車の中でマネージャーから言われたのだ

オファーが来ているドラマに翔ちゃんが出演することが決まっていると

高校を卒業してから彼とは連絡をとっていない、とっていないというかとる必要がないのだ

だって、今ではその彼がテレビの中で歌とダンスを披露し観客の歓声を浴びているのだから

私もこの業界に入ってから苗字を変えて長かった髪もミディアムヘアまで切り、メイクも変えた。

高校のあの時には彼はもう事務所に入っていたし、授業もたまに休んだりしていたので私がノートを見せてあげるのが決まりだった

けど、途中で私たちはどこかで道を外れたのかほとんど喋らなくなり毎日一緒に帰っていたのに、気がつけば1人で帰るようになっていた

別に喧嘩をしたわけではなかった、けど向かうがまず私への態度が冷たかったのだ

昔からメールの返信は1日経ってからだったり、高校生ならではの寄り道というやつに一緒に行ってくれないぐらいには冷たかったし、いつもリアクションは薄かった

けど、ある日私が話しかけに行くと彼があからさまに嫌そうな顔をしたのだ

私は何かしたのだろうかと思って話しかけるのを控えた

『翔ちゃん、帰ろ』

「俺、コイツらと寄るところあるから先に帰れば」

『そっか、…じゃあ。またね』

その次の日になっても翔ちゃんの機嫌はなおっていなかった

『ねぇ、翔ちゃ…』

「いつもいつも鬱陶しいんだよ、ずっと俺の後ろばっかり付いてきてさ」

『ごめ、ん…』

その後のことはよく覚えてない

〜♪〜〜♪

『あっ……はい、すみません。はい、受けます。……はい、それで大丈夫です』

つい、勢いのまま受けてしまった

でも受けてしまったからには切り替えて取り組まないと

これから忙しくなるのだから私情を挟んでいる暇なんてない